夫婦ごと

自分勝手、わがまま妻の「とも」と、押しが弱くお人よしの夫「とり」、二人の愛息子「ひよこ」の愛の風景…たぶん。

夫の目

夫はよく妻のことを『可愛い』と言う。
普段そんなことをめったに言われたことのない妻は、そのたびに恥じつつ嬉しかった。
ある日夫が珍しくテレビを見ながら言った。

「森三中の村上ってかわいいよね。」

妻「…」

「うん、可愛い。可愛いよ村上」

複雑な思いの妻だった。

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夫と略

トイレから出てきた夫が素朴な疑問を口にした。

夫「ビデってさあ…なんの略なんだろう。」
妻「…」

夫「ビデ…」

「ビューティフル…デイ…」

妻「………」

夫「いや、違うな…ビデ…」

妻は笑いをこらえるのが精一杯だった。

ビデ:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%87

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夫の関心

夫は理系である。
妻は根っからの文系である。
夫の興味のあるもの、関心のあるものは、おおむね妻は理解できない。
ある夜。
さあ、寝ようと言う時、夫が不意につぶやいた。

「水はさぁ…磁力に反発するんだよ。」

妻「…」

「モーゼ効果って言うんだよ…」

妻「………」

「すごいよなあ…反発するんだよ…」

妻「…………………」

「モーゼ効果ってさあ…言うんだよ…」

妻「……………………………………」

妻が眠りにつくまで、夫は繰り返し呟き続けた。



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夫と谷

本編は引越しとはまったく関係ありません。

某エステのCMには、スポーツ選手が多数出演している。
駅のホームに、でかでかとポスターが貼られていた。
妻は、そこに写る谷亮子の写真はなんだか凛として美しいと思っていた。

ある日、一家で買い物に出かけた。
ホームで、妻は常々感じていたことを夫に話した。

妻「このポスターのさ、スポーツ選手みんな綺麗に写ってるよね。」
夫「ああ、そうだね。エステだもんね。」
妻「ほら、この谷なんて美しくない?」
夫「谷…?」
妻「田村亮子だよ。やわらちゃんだよ。」
夫「いなくない?」
妻「いるよ。ほら、あそこ左のとこに」
夫「…」

「あれ、男じゃん。」

「Σ!?」

夫「男…ああーー!」

妻「わかった?」

「おおーー…」

妻「綺麗じゃない?」

夫「っていうかさ。凛々しいよね。」
妻「いいじゃない。強さがにじみ出てて。」
夫「っていうかさ…」

夫「俺毎朝このポスター見ててさ。」

「どこぞのK1選手かと思ってたんだよね…」

「…」

夫「そっか…谷…。」

夫は、有名人、芸能人にものすごい疎い。
しかし、性別くらいは当ててほしい。
谷を不憫に感じつつ妻は夫の横顔を見つめた。

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夫婦の遊び

夫婦はしばしば二人で子供のように遊ぶ。
それはトランプだったり、オセロだったり、罪のない他愛もない遊戯である。
しかし夫も妻も性格が基本的にひねくれているので、それが一筋縄で遂行することは少ない。
その日、夫婦は平和にしりとりをして遊んでいた。

妻「しりとりはじめー」
夫「めだかー」
妻「からすー」
夫「すいかー」

「川平ー」

「Σ慈英?」

妻「ジョン(兄)かもしれない。」

夫「……」
夫「かびら…ら、ら」

「ラマダンー」

「ラマダン?」

夫「知らないの?イスラム教の断食のことだよ

妻「普通知らないよ」
夫「うーそーだーよー。ともモグリじゃない?」
妻「何の。つか、ンでしりとり終わったし。」
夫「ンジャメナー」
妻「わかったわかった…もうやめよう。ラマダン以上の威力のある答えはできないよ…」

翌日。
しりとりに負けたのは夫のはずなのに、試合に勝って勝負に負けたと感じた妻は、次回は夫以上にインパクトのある答えをしてやろうと、国語辞典に手を伸ばしていた。

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死と夫

ネガティブな妻はすぐに、「自分が死んだら」という例え話を具体的に持ち出し、語り、時に涙する。
夫はその度にそんな妻をなだめ、励まし、共に生きようと元気づける。
そんなある日…

(某月9ドラマを観ながら)

妻「10年も死んだ妻を思い続けるなんてすごいよね。」
夫「そうだね。」
妻「あなたはすぐ忘れるね。」
夫「忘れないよー」
妻「嘘だね。すぐ再婚相手見つけるね。私の死という悲劇をエサに。」

「人でなしだね。」

妻「そうよ。私を想い続けるなんてせいぜい…8ヶ月かな。」

「あ、意外と長いね」

「Σな」
shi.jpg


妻「…」
夫「…」

妻「私のことなんだと思ってるわけ?」
夫(ごにょごにょと)「…おばか」
妻「なに?」
夫(ごにょごにょと)「おばか…」

「おっこと主?」

「Σおっこと主…!!」

妻「何よ、違うの?」
夫「…いや、まあそれでいいや。」
妻「たとえがよくわかんないんだけど。」
夫「…」
妻「死んだら困るよね。」
夫「そうだね…困るよね…おっこと主が死んだら…」
妻「死んだら困る存在ってことかしら」
夫「うん、そういうことでいいんじゃない?」

妻は機嫌を直し、夫に笑いかけた。
夫は微笑み返しながら、妻が馬鹿でよかった思った。

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妻と花

夫が休みの前日は、妻のテンションもあがる。
平日より少しだけ夜更かしをして、夫とおしゃべりしながら平和なひとときを過ごすのが好きだ。
そして今宵も二人は他愛のない話に花を咲かせていた。

妻「たとえばおうちを買って庭ができたらさ、木とか植えたいね。」
夫「杉とかね」
「それは住宅街でえらい迷惑だね」
夫「そうかなあ」
妻「日照権的に難しいよね」

夫「花もいいね」
「私を花にたとえると何?」
夫「Σ唐突だな」

妻「何?」
夫「えー。花…花」

「ラフレシア…かな」

「Σラフレシア…!!」
夫「世界で一番大きい花だよ」
「褒めてないよね」

「すごい匂いがするんだよ」

「Σ私くさい!?」

「虫にはとっても良い匂いなんだよ」

妻「私くさいの…」
hana.jpg

夫「何、不満なの?贅沢だなあ」
妻「別のにして」
夫「そうだなー」

「オオイヌノフグリかな」

「Σ犬の×××!?」

夫「あ、そういう意味なんだ?!俺好きなんだけど可愛い花じゃん」

可愛くても自分にはたとえてほしくないと思う妻であった。

参考URL:
ラフレシア*http://www.bbec.sabah.gov.my/japanese/nature/Raflesia.htm
オオイヌノフグリ*http://had0.big.ous.ac.jp/~hada/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/sympetalae/scrophulariaceae/ooinunofuguri/ooinunofuguri.htm

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夫とメール

夫は妻にマメにメールする。
つきあいはじめからそれは変わらず、その多くは愛情に溢れている。
結婚前、多忙な職場にいた妻は、夫からの優しいメールに心癒されていた。
そんなある日…

夫よりメール『subject:お疲れ様 大丈夫?今日もお仕事忙しい?』
妻から返信『subject:疲れたー 今日も終電だよ。そっちは仕事終わったの?お疲れ様。』
夫より返信『subject:あらら… そうか…無理しないでね。終電のがしたら俺の部屋に帰って来なさいね。マッサージしてあげるからね。』

当時夫は一人暮らしをしていて、妻の職場からは夫の部屋の方が近かった。
妻「ああ…癒される。この人とつきあって本当に良かった。」
memo.jpg

妻『subject:ありがとう その時はそっちに行くからよろしくね。』

夫『subject:いえいえ 来てくれたら俺も嬉しいから。お仕事、つらいけどがんばってね。大好きだよ。 サラン◎ップ

妻「Σサラン◎ップ…!!」

「…メモ!?」

それからも、夫はしばしば妻のメールに自分のためのメモを書く。
愛に溢れた言葉の末尾に唐突に現れる日用品の数々。
買い忘れないように、やり忘れないように、忘れがちな夫の工夫であった。

歌と夫

uta.jpg
夫婦はここ最近、息子を寝かしつけるときに歌をうたっている。
すると、妻も夫も童謡や学生時代に定番だった歌をかなりの勢いで忘れていることに驚く。
『チューリップ』『森のくまさん』などの王道はもちろん覚えているが、少し高度な『グリーングリーン』『大きな古時計』なんかにくるとめちゃくちゃになる。
1番と2番の歌詞はごっちゃ、わからないところはハミング。
歌っている途中夫婦で議論になることもしばしば。
夫は普段でも記憶力が頼りないゆえに、妻よりひどい。
そんな夫が、名曲『一年生になったら』で事件を起こす…

夫&妻「 いっちねんせ〜になった〜ら、いっちねんせ〜になった〜ら♪とっもだっちっひゃっくにんでっきるっかな〜♪」

「ひゃーくにーんじゃたっりないな〜♪」

「こらまてー!!なんだそのものすごい野望は!!」

夫「え?違うの?」
妻「100人で食べたいな、富士山の上でおにぎりをだよ!」
夫「うっそだー」
妻「じゃあ百人じゃ足りなくてどうなるのよ!」

「♪いっちおっくにんを〜ほ〜にゃら〜らら〜」

妻「一億って!!」
夫「後半忘れちゃったけど、確かそうだよ。」
妻「忘れたんじゃなくてそもそもないんだよそんな歌詞は…」

息子は今宵も議論する夫婦に挟まれ眠りにつく…

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