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夫婦の遊び
夫婦はしばしば二人で子供のように遊ぶ。
それはトランプだったり、オセロだったり、罪のない他愛もない遊戯である。
しかし夫も妻も性格が基本的にひねくれているので、それが一筋縄で遂行することは少ない。
その日、夫婦は平和にしりとりをして遊んでいた。
妻「しりとりはじめー」
夫「めだかー」
妻「からすー」
夫「すいかー」
妻「川平ー」
夫「Σ慈英?」
妻「ジョン(兄)かもしれない。」
夫「……」
夫「かびら…ら、ら」
夫「ラマダンー」
妻「ラマダン?」
夫「知らないの?イスラム教の断食のことだよ」
妻「普通知らないよ」
夫「うーそーだーよー。ともモグリじゃない?」
妻「何の。つか、ンでしりとり終わったし。」
夫「ンジャメナー」
妻「わかったわかった…もうやめよう。ラマダン以上の威力のある答えはできないよ…」
翌日。
しりとりに負けたのは夫のはずなのに、試合に勝って勝負に負けたと感じた妻は、次回は夫以上にインパクトのある答えをしてやろうと、国語辞典に手を伸ばしていた。
参加してます。



それはトランプだったり、オセロだったり、罪のない他愛もない遊戯である。
しかし夫も妻も性格が基本的にひねくれているので、それが一筋縄で遂行することは少ない。
その日、夫婦は平和にしりとりをして遊んでいた。
妻「しりとりはじめー」
夫「めだかー」
妻「からすー」
夫「すいかー」
妻「川平ー」
夫「Σ慈英?」
妻「ジョン(兄)かもしれない。」
夫「……」
夫「かびら…ら、ら」
夫「ラマダンー」
妻「ラマダン?」
夫「知らないの?イスラム教の断食のことだよ」
妻「普通知らないよ」
夫「うーそーだーよー。ともモグリじゃない?」
妻「何の。つか、ンでしりとり終わったし。」
夫「ンジャメナー」
妻「わかったわかった…もうやめよう。ラマダン以上の威力のある答えはできないよ…」
翌日。
しりとりに負けたのは夫のはずなのに、試合に勝って勝負に負けたと感じた妻は、次回は夫以上にインパクトのある答えをしてやろうと、国語辞典に手を伸ばしていた。
参加してます。

妻の主張

妻は決して認めようとしないが、夫は妻のことをかなりのドジだと思っている。
細かいことは今省くが、妻があまりにドジなので、妻が出かけるとき、夫は常に妻が事故に遭ったり、転んだりしていないか心配している。
そう、妻はよく転ぶのだ。
その足下に何もなくても、その足下が平らな道だったとしても…。
(何もない道で妻つまずく)
夫「ほら!!もー!また転んだ!」
妻「転んでないよ!つまずいたんだよ!!」
夫「一緒だよ」
妻「一緒じゃないよ!転ぶ界ではねー、つまずくと転ぶには大きな隔たりがあるんだよ!」
夫「転ぶ界って」
妻「私はねー、ここ最近つまずくことはたくさんあっても、実際に転んだことはほとんどないんだからね。そこんとこはき違えないで欲しいわ。」
夫「一緒だよ…」
数日後
夫「ただいまー」
妻「おかえりなさいー。ねえ、今日転んだ。」
夫「また?どこで。」
妻「また、じゃないよ久しぶりだよ」
夫「いいよどうでも。どこで。」
妻「…畳」
夫「家?」
妻「違うんだよ、お布団を干したの。ひよこの。で、取り込んで、シーツかけて。右側のシーツの端を整えて、左側のシーツも整えようと思って、ね。布団を飛び越えようってジャンプ、したら、靴下が、畳で滑って…」
夫「あぶないなー、ひよこは」
妻「そばにいた。私が転ぶのを見て笑ってた。」
夫「ひよこにぶつかったらどうするの。本当に…ともは怖いよ。」
妻「でもね、違うの。聞いて。今回はちゃんと理由があって転んだんだから、正しい転倒なんだよ。」
夫「正しい転倒?」
妻「正当な転倒だよ。だから大丈夫なの。」
夫「転ぶのに正しいとか間違いとかないから。」
妻「何言ってるの?」
妻「理由なき転倒と、理由あり転倒を一緒にしないで!!」
夫「逆ギレ?!」
夫「理由なき転倒とか言ってさー、格好良いみたいな名前つけてもさー…結局転ぶことに変わりないじゃん…」
妻「全然違う。今回は理由があったの、転ぶ界ではかなり上のランクの転び方だよ。だから私は悪くないの。」
夫「…また転ぶ界」
自分は悪くない、転ぶ界において今回は不当な転び方はしていないと主張を続ける妻を見ながら、そんな世界は理解したくもないと思う夫であった。
参加してます。

父の励まし
妻は今でこそほとんど風邪も引かず、比較的健康に生きている。
しかし、妻がまだ妻ではなく娘であり、学生だった頃
娘は病弱という程ではなかったが、ちょこちょこ体調を崩した。
シーズンごとにインフルエンザにかかり、貧血による立ちくらみは日常、腹痛とはもはやお友達だった。
娘はしばしば自分は重い病気ではないかと。具体的な病名を挙げ、自分の症状にあてはめては不安を募らせていた。
そんなある日、娘は自分の脇の下にコリコリとしたしこりを見つけた。
脇の下のしこりは乳ガンの典型的な症状。
インターネットで調べ、青ざめつつ自室を出た娘は、よろめきながらリビングでのんびりと相撲を見ていた父に訴えた。
娘(現妻)「私…乳ガンかもしれない」
父「そうか。」
娘「…脇の下にしこりがあるんだよ…乳ガンの典型的な初期症状だって…」
父「そうか。」
娘「どうしよう…」
父「でも、生きたよな。」
娘「え?」
父「もう、結構十分生きただろ」
娘「…………」
娘「そうだね」
父「うん、生きた生きた」

テレビから目を離すこともなく、満足げに頷く父を見て気の抜けた娘は、黙って自室に戻っていった。
脇の下のしこりのことは気にならなくなっていた。
数日後、しこりは消えた。
どうやら脂肪の固まりのようなものだったらしい。
それ以後、娘は自分の体に不調があっても大して気にしなくなった。
そして娘は小さな風邪ならびくともしないほどにたくましくなっていった。
父なりのショック療法だったのかもしれない。
参加してます。



しかし、妻がまだ妻ではなく娘であり、学生だった頃
娘は病弱という程ではなかったが、ちょこちょこ体調を崩した。
シーズンごとにインフルエンザにかかり、貧血による立ちくらみは日常、腹痛とはもはやお友達だった。
娘はしばしば自分は重い病気ではないかと。具体的な病名を挙げ、自分の症状にあてはめては不安を募らせていた。
そんなある日、娘は自分の脇の下にコリコリとしたしこりを見つけた。
脇の下のしこりは乳ガンの典型的な症状。
インターネットで調べ、青ざめつつ自室を出た娘は、よろめきながらリビングでのんびりと相撲を見ていた父に訴えた。
娘(現妻)「私…乳ガンかもしれない」
父「そうか。」
娘「…脇の下にしこりがあるんだよ…乳ガンの典型的な初期症状だって…」
父「そうか。」
娘「どうしよう…」
父「でも、生きたよな。」
娘「え?」
父「もう、結構十分生きただろ」
娘「…………」
娘「そうだね」
父「うん、生きた生きた」

テレビから目を離すこともなく、満足げに頷く父を見て気の抜けた娘は、黙って自室に戻っていった。
脇の下のしこりのことは気にならなくなっていた。
数日後、しこりは消えた。
どうやら脂肪の固まりのようなものだったらしい。
それ以後、娘は自分の体に不調があっても大して気にしなくなった。
そして娘は小さな風邪ならびくともしないほどにたくましくなっていった。
父なりのショック療法だったのかもしれない。
参加してます。

死と夫
ネガティブな妻はすぐに、「自分が死んだら」という例え話を具体的に持ち出し、語り、時に涙する。
夫はその度にそんな妻をなだめ、励まし、共に生きようと元気づける。
そんなある日…
(某月9ドラマを観ながら)
妻「10年も死んだ妻を思い続けるなんてすごいよね。」
夫「そうだね。」
妻「あなたはすぐ忘れるね。」
夫「忘れないよー」
妻「嘘だね。すぐ再婚相手見つけるね。私の死という悲劇をエサに。」
夫「人でなしだね。」
妻「そうよ。私を想い続けるなんてせいぜい…8ヶ月かな。」
夫「あ、意外と長いね」
妻「Σな」

妻「…」
夫「…」
妻「私のことなんだと思ってるわけ?」
夫(ごにょごにょと)「…おばか」
妻「なに?」
夫(ごにょごにょと)「おばか…」
妻「おっこと主?」
夫「Σおっこと主…!!」
妻「何よ、違うの?」
夫「…いや、まあそれでいいや。」
妻「たとえがよくわかんないんだけど。」
夫「…」
妻「死んだら困るよね。」
夫「そうだね…困るよね…おっこと主が死んだら…」
妻「死んだら困る存在ってことかしら」
夫「うん、そういうことでいいんじゃない?」
妻は機嫌を直し、夫に笑いかけた。
夫は微笑み返しながら、妻が馬鹿でよかった思った。
参加してます。



夫はその度にそんな妻をなだめ、励まし、共に生きようと元気づける。
そんなある日…
(某月9ドラマを観ながら)
妻「10年も死んだ妻を思い続けるなんてすごいよね。」
夫「そうだね。」
妻「あなたはすぐ忘れるね。」
夫「忘れないよー」
妻「嘘だね。すぐ再婚相手見つけるね。私の死という悲劇をエサに。」
夫「人でなしだね。」
妻「そうよ。私を想い続けるなんてせいぜい…8ヶ月かな。」
夫「あ、意外と長いね」
妻「Σな」

妻「…」
夫「…」
妻「私のことなんだと思ってるわけ?」
夫(ごにょごにょと)「…おばか」
妻「なに?」
夫(ごにょごにょと)「おばか…」
妻「おっこと主?」
夫「Σおっこと主…!!」
妻「何よ、違うの?」
夫「…いや、まあそれでいいや。」
妻「たとえがよくわかんないんだけど。」
夫「…」
妻「死んだら困るよね。」
夫「そうだね…困るよね…おっこと主が死んだら…」
妻「死んだら困る存在ってことかしら」
夫「うん、そういうことでいいんじゃない?」
妻は機嫌を直し、夫に笑いかけた。
夫は微笑み返しながら、妻が馬鹿でよかった思った。
参加してます。

妻と花
夫が休みの前日は、妻のテンションもあがる。
平日より少しだけ夜更かしをして、夫とおしゃべりしながら平和なひとときを過ごすのが好きだ。
そして今宵も二人は他愛のない話に花を咲かせていた。
妻「たとえばおうちを買って庭ができたらさ、木とか植えたいね。」
夫「杉とかね」
妻「それは住宅街でえらい迷惑だね」
夫「そうかなあ」
妻「日照権的に難しいよね」
夫「花もいいね」
妻「私を花にたとえると何?」
夫「Σ唐突だな」
妻「何?」
夫「えー。花…花」
夫「ラフレシア…かな」
妻「Σラフレシア…!!」
夫「世界で一番大きい花だよ」
妻「褒めてないよね」
夫「すごい匂いがするんだよ」
妻「Σ私くさい!?」
夫「虫にはとっても良い匂いなんだよ」
妻「私くさいの…」

夫「何、不満なの?贅沢だなあ」
妻「別のにして」
夫「そうだなー」
夫「オオイヌノフグリかな」
妻「Σ犬の×××!?」
夫「あ、そういう意味なんだ?!俺好きなんだけど可愛い花じゃん」
可愛くても自分にはたとえてほしくないと思う妻であった。
参考URL:
ラフレシア*http://www.bbec.sabah.gov.my/japanese/nature/Raflesia.htm
オオイヌノフグリ*http://had0.big.ous.ac.jp/~hada/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/sympetalae/scrophulariaceae/ooinunofuguri/ooinunofuguri.htm
参加してます。



平日より少しだけ夜更かしをして、夫とおしゃべりしながら平和なひとときを過ごすのが好きだ。
そして今宵も二人は他愛のない話に花を咲かせていた。
妻「たとえばおうちを買って庭ができたらさ、木とか植えたいね。」
夫「杉とかね」
妻「それは住宅街でえらい迷惑だね」
夫「そうかなあ」
妻「日照権的に難しいよね」
夫「花もいいね」
妻「私を花にたとえると何?」
夫「Σ唐突だな」
妻「何?」
夫「えー。花…花」
夫「ラフレシア…かな」
妻「Σラフレシア…!!」
夫「世界で一番大きい花だよ」
妻「褒めてないよね」
夫「すごい匂いがするんだよ」
妻「Σ私くさい!?」
夫「虫にはとっても良い匂いなんだよ」
妻「私くさいの…」

夫「何、不満なの?贅沢だなあ」
妻「別のにして」
夫「そうだなー」
夫「オオイヌノフグリかな」
妻「Σ犬の×××!?」
夫「あ、そういう意味なんだ?!俺好きなんだけど可愛い花じゃん」
可愛くても自分にはたとえてほしくないと思う妻であった。
参考URL:
ラフレシア*http://www.bbec.sabah.gov.my/japanese/nature/Raflesia.htm
オオイヌノフグリ*http://had0.big.ous.ac.jp/~hada/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/sympetalae/scrophulariaceae/ooinunofuguri/ooinunofuguri.htm
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夫と子供
夫は世間一般の旦那様方よりはだいぶ子供の面倒を見る方だ。
お風呂はもちろん、お着替え、お食事、お遊び、うんちおむつ替えまでなんでもやる。
妻はそんな夫に感謝しつつ、夫の息子にかける愛情も素晴らしいと感じていた。
しかし…
夫(ひよこを抱きしめながら)「ひよちゃーん、ちゅー」
妻「夫はひよこが大好きだねー」
夫「大好きだよー、ひよちゃんもパパが大好きだもんねー、ちゅー」
もがく息子
妻「ひよこ、いやがってるよ。しつこいって」
夫「そんなことないもんねー。ちゅーー」
息子「あーー」
妻「かわいそうじゃん。男にさあ」
夫「そんなことないもんねー。べろべろべろーー」(息子の頬を舐める夫)
息子「うきゃきゃきゃ」
妻「くすぐったいって。」
夫「喜んでるんだよ。べーろべろべろーー」
妻「…」
妻「息子でそうなんだからさ、娘なんて生まれたら大変でしょ。
夫「そうだね、大変だね。」
妻「ちゅーしまくりだね。」
夫「超するね」
妻「舐め回すね」
夫「舐め回すね」
妻「噛みつくね」
夫「噛みつくね」
妻「嫁とか無理でしょ」
夫「やらないね」
妻「食べそうだよね」
夫「っていうかむしろ食べるよね」
妻「…」
妻は、娘を作るのは少し考えようと思った。

お風呂はもちろん、お着替え、お食事、お遊び、うんちおむつ替えまでなんでもやる。
妻はそんな夫に感謝しつつ、夫の息子にかける愛情も素晴らしいと感じていた。
しかし…
夫(ひよこを抱きしめながら)「ひよちゃーん、ちゅー」
妻「夫はひよこが大好きだねー」
夫「大好きだよー、ひよちゃんもパパが大好きだもんねー、ちゅー」
もがく息子
妻「ひよこ、いやがってるよ。しつこいって」
夫「そんなことないもんねー。ちゅーー」
息子「あーー」
妻「かわいそうじゃん。男にさあ」
夫「そんなことないもんねー。べろべろべろーー」(息子の頬を舐める夫)
息子「うきゃきゃきゃ」
妻「くすぐったいって。」
夫「喜んでるんだよ。べーろべろべろーー」
妻「…」
妻「息子でそうなんだからさ、娘なんて生まれたら大変でしょ。
夫「そうだね、大変だね。」
妻「ちゅーしまくりだね。」
夫「超するね」
妻「舐め回すね」
夫「舐め回すね」
妻「噛みつくね」
夫「噛みつくね」
妻「嫁とか無理でしょ」
夫「やらないね」
妻「食べそうだよね」
夫「っていうかむしろ食べるよね」
妻「…」
妻は、娘を作るのは少し考えようと思った。

その時夫は凍り付いた−クリスマス前のお話−※超長文
おいしいパンがたくさん食べたいの」
そんな妻の一言で、夫婦はとあるホテルのビュッフェへでかけることにした。
「ここんとこ便秘だからお腹苦しい。食べられるかなあ。」
妻はぼやいたが、その程度の事が妻の胃袋に何の障害にもならないことを夫は知っていた。
「俺そんな食べられないから、息子見てる。妻がんばって食べてね。」
その言葉通りになることを妻は知っていた。
とりあえず二人は朝から何も食べずに会場へ向かった。
ホテルはきらびやかで、天井も高く、大きなクリスマスツリーも飾ってあり、華やかだった。
レストランの席に座ると、ベビーカーの中で喚く息子を夫が抱きあげた。
「息子見てるから、二人分取ってきてよ。」
頷く暇も惜しみ、妻は小走りで料理のもとへ。
90分の時間制限。妻は本気だった。
とりあえずパン3種類、サラダ3種類、ピザ、巻き寿司、稲荷寿司、ローストビーフ、マカロニグラタン、白身魚のフライ、アスパラのフライ、チキン、さつまいも・・
妻は数往復して大皿を運んだ。
夫は息子を抱きながら、自らの好物であるパインとグレープフルーツをボウルに山盛りにしていた。
基本的にすべての料理を半分ずつ食べた。
開始から30分経つか経たないかで、早くも夫が弱音を吐いた。
「もうお腹苦しい。」
言いながらベルトをゆるめる。
「食休みしてくる。」
息子を抱いてレストラン内を散歩しに行く夫。
妻は夫の姿を遠目に見つつ皿を空けていく。
すっきりしていることが好きな妻は、なるべく皿は少なく、かつ余分なものは下げてもらいたいと思う。
少なくなってきた皿から料理を別の皿に移す。
そうやって空いた皿は邪魔じゃないところへ置く。
そうこうしているうちに、3つあった大皿は1つになっていた。
夫が片手に息子、片手に小さな皿を持って帰ってきた。
「しゃぶしゃぶあった。」
「いいねえ。」
しゃぶしゃぶをつつく夫婦。
「あっちでパスタあったよ、頼めばできたてを作ってくれるんだって。」
「俺もう無理。ローストビーフかしゃぶしゃぶならたべたいけど。」
「じゃあ今度は私が行ってくるね。食休み。ついでに取ってきてあげる。」
息子を抱いて妻が立ち上がる。
見送る夫は、妻が希望以上のものを持って帰ってくることを知っていた。
案の定、戻ってきた妻は、しゃぶしゃぶの他に、新たにパンが4種類乗った皿を持っていた。
再び黙々と食べ始める夫婦。
しばらくすると妻が立ち上がる。
「デザートとってくる。」
妻はケーキ6種類、マシュマロとバナナのチョコフォンデュ、ソフトクリームを持って帰ってきた。
夫は無口になっていた。
息子がぐずりはじめる。
「散歩してくる。」
息子を抱いて再びレストラン内を歩き出す夫。
妻は最後の大皿に取りかかった。
数分後、夫が戻ってきたとき、妻はデザートを食べていた。
そして、料理がたっぷり残っていたはずの大皿の上は、稲荷寿司のみになっていた。
「おいなりさんたべてね。」
それが親切でないことを夫は知っていた。
「また腹にたまるものを残して・・」
「ケーキ、全部半分たべたから、残り食べてね。」
皿を受け取る夫の笑顔の裏に
『もう食えねえよ』
という叫びが隠されていることを妻は知っていた。
笑顔を返す妻の心に
『いいから黙って全部食え』
という脅迫じみた声が隠されていることを夫は知っていた。
夫は泣きそうになりながら皿の上のケーキを眺めた。
「・・どれがおいしかった?」
「全部。」
「・・・。」
「紅茶入れてきてあげるね、あったかいの。」
妻は立ち上がった。
二人分の紅茶を持って帰ってきた妻は、ケーキが2種類しか減っていないことに気がついていたが、黙っていた。
時間は残すところ30分となっていた。
二人はゆったりとあたたかい紅茶を飲んだ。
「お腹いっぱい。幸せ。」
「ほんとだね。」
夫の目にも、妻は満ち足りているように見えた。
隣にいた4人組の主婦はとっくに店を出ており、新たな客が座っていた。
妻は紅茶をおくと、紙ナプキンで口をふいた。
「じゃあ。」
そろそろ行こうか、
そんな妻の言葉を予想して、夫は腰を浮かしかけた。
しかし、次の瞬間妻の口から出た言葉に夫は凍りついた。
「私パスタ取ってくるね。」
唖然とする夫を残し、妻はパスタを作るシェフのもとへ走っていった。
息子が空腹のためか、いよいよ泣き出す。
泣き叫ぶ息子となだめる夫。
妻はパスタを受け取ると慌ててテーブルに戻ってきた。
「ごめんね、すぐ食べるから。もうお腹いっぱいだし、たぶん一口しか無理。」
そう言いながらパスタを食べ始める妻。
ものの数十秒で皿は空になっていた。
妻は未練なし、といった様子でさっさとコートを着込んで立ち上がると、夫から泣き叫ぶ息子を受け取り
「行こうか!」
と、笑顔で出口に向かっていった。
夫は取り残される形で呆然と妻を見ていたが、我に返ると急いでコートを手に取り、空のベビーカーを押しながら妻を追いかけていくのであった。
そんな妻の一言で、夫婦はとあるホテルのビュッフェへでかけることにした。
「ここんとこ便秘だからお腹苦しい。食べられるかなあ。」
妻はぼやいたが、その程度の事が妻の胃袋に何の障害にもならないことを夫は知っていた。
「俺そんな食べられないから、息子見てる。妻がんばって食べてね。」
その言葉通りになることを妻は知っていた。
とりあえず二人は朝から何も食べずに会場へ向かった。
ホテルはきらびやかで、天井も高く、大きなクリスマスツリーも飾ってあり、華やかだった。
レストランの席に座ると、ベビーカーの中で喚く息子を夫が抱きあげた。
「息子見てるから、二人分取ってきてよ。」
頷く暇も惜しみ、妻は小走りで料理のもとへ。
90分の時間制限。妻は本気だった。
とりあえずパン3種類、サラダ3種類、ピザ、巻き寿司、稲荷寿司、ローストビーフ、マカロニグラタン、白身魚のフライ、アスパラのフライ、チキン、さつまいも・・
妻は数往復して大皿を運んだ。
夫は息子を抱きながら、自らの好物であるパインとグレープフルーツをボウルに山盛りにしていた。
基本的にすべての料理を半分ずつ食べた。
開始から30分経つか経たないかで、早くも夫が弱音を吐いた。
「もうお腹苦しい。」
言いながらベルトをゆるめる。
「食休みしてくる。」
息子を抱いてレストラン内を散歩しに行く夫。
妻は夫の姿を遠目に見つつ皿を空けていく。
すっきりしていることが好きな妻は、なるべく皿は少なく、かつ余分なものは下げてもらいたいと思う。
少なくなってきた皿から料理を別の皿に移す。
そうやって空いた皿は邪魔じゃないところへ置く。
そうこうしているうちに、3つあった大皿は1つになっていた。
夫が片手に息子、片手に小さな皿を持って帰ってきた。
「しゃぶしゃぶあった。」
「いいねえ。」
しゃぶしゃぶをつつく夫婦。
「あっちでパスタあったよ、頼めばできたてを作ってくれるんだって。」
「俺もう無理。ローストビーフかしゃぶしゃぶならたべたいけど。」
「じゃあ今度は私が行ってくるね。食休み。ついでに取ってきてあげる。」
息子を抱いて妻が立ち上がる。
見送る夫は、妻が希望以上のものを持って帰ってくることを知っていた。
案の定、戻ってきた妻は、しゃぶしゃぶの他に、新たにパンが4種類乗った皿を持っていた。
再び黙々と食べ始める夫婦。
しばらくすると妻が立ち上がる。
「デザートとってくる。」
妻はケーキ6種類、マシュマロとバナナのチョコフォンデュ、ソフトクリームを持って帰ってきた。
夫は無口になっていた。
息子がぐずりはじめる。
「散歩してくる。」
息子を抱いて再びレストラン内を歩き出す夫。
妻は最後の大皿に取りかかった。
数分後、夫が戻ってきたとき、妻はデザートを食べていた。
そして、料理がたっぷり残っていたはずの大皿の上は、稲荷寿司のみになっていた。
「おいなりさんたべてね。」
それが親切でないことを夫は知っていた。
「また腹にたまるものを残して・・」
「ケーキ、全部半分たべたから、残り食べてね。」
皿を受け取る夫の笑顔の裏に
『もう食えねえよ』
という叫びが隠されていることを妻は知っていた。
笑顔を返す妻の心に
『いいから黙って全部食え』
という脅迫じみた声が隠されていることを夫は知っていた。
夫は泣きそうになりながら皿の上のケーキを眺めた。
「・・どれがおいしかった?」
「全部。」
「・・・。」
「紅茶入れてきてあげるね、あったかいの。」
妻は立ち上がった。
二人分の紅茶を持って帰ってきた妻は、ケーキが2種類しか減っていないことに気がついていたが、黙っていた。
時間は残すところ30分となっていた。
二人はゆったりとあたたかい紅茶を飲んだ。
「お腹いっぱい。幸せ。」
「ほんとだね。」
夫の目にも、妻は満ち足りているように見えた。
隣にいた4人組の主婦はとっくに店を出ており、新たな客が座っていた。
妻は紅茶をおくと、紙ナプキンで口をふいた。
「じゃあ。」
そろそろ行こうか、
そんな妻の言葉を予想して、夫は腰を浮かしかけた。
しかし、次の瞬間妻の口から出た言葉に夫は凍りついた。
「私パスタ取ってくるね。」
唖然とする夫を残し、妻はパスタを作るシェフのもとへ走っていった。
息子が空腹のためか、いよいよ泣き出す。
泣き叫ぶ息子となだめる夫。
妻はパスタを受け取ると慌ててテーブルに戻ってきた。
「ごめんね、すぐ食べるから。もうお腹いっぱいだし、たぶん一口しか無理。」
そう言いながらパスタを食べ始める妻。
ものの数十秒で皿は空になっていた。
妻は未練なし、といった様子でさっさとコートを着込んで立ち上がると、夫から泣き叫ぶ息子を受け取り
「行こうか!」
と、笑顔で出口に向かっていった。
夫は取り残される形で呆然と妻を見ていたが、我に返ると急いでコートを手に取り、空のベビーカーを押しながら妻を追いかけていくのであった。







